9ENSOKYOがアツい
なにそれ
ラップ音楽を制作している**「9ENSOKYO」**という名前で活動しているアーティスト(またはクルー)がいます。
調査したところ、9ENSOKYOは特定のラッパー個人を指すというより、**東方Projectをテーマにしたヒップホップクルー(またはレーベルや集合体)**として認識されているようです。
音楽的な特徴
Plugg / Pluggnb スタイル: いわゆる「ヴァーチャルpluggラッパー」として言及されており、浮遊感のあるシンセサイザーや特徴的なドラムパターンを持つPlugg(プラグ)やPluggnb(プラグンビー)といったヒップホップのサブジャンルをベースにしているようです。
東方Projectの世界観: クルー名が「幻想郷」をもじっていることや、参加アーティストの名前が「remilia bandxz」「Sakuya4D」「YUNGCIRNOOO」など、東方Projectのキャラクター(レミリア、咲夜、チルノなど)をもじった名前になっていることから、作品のテーマやリリックに東方Projectの世界観が色濃く反映されています。
サイファー楽曲: 複数のアーティストが参加する「Onna Bloxk (9ENSOKYO CYPHER 2024)」といったサイファー楽曲をリリースしており、クルーとしての活動が確認できます。
楽曲を聴ける場所
Apple Musicなどの各種音楽ストリーミングサービスで楽曲が配信されています。
「remilia bandxz」や「9ENSOKYO」で検索すると、関連するアーティストや楽曲を見つけることができます。
代表的な楽曲例:
Hills (feat. aya staxks) - remilia bandxz
Onna Bloxk (9ENSOKYO CYPHER 2024)
はい、以上Geminiくんによる簡潔で完璧な説明でした。
さて、以下の文書は「(アンダーグラウンド)ラップ/ヒップホップ」を普段聴かない層」に向けて、私が知っている知識を使ってなるだけ情報量を多く、9ENSOKYOの魅力とアンダーグラウンドラップの魅力について書いたものです。
時間のあるときに、是非じっくり読んでほしいと思います。
何がアツいの?
これまでにも、二次元美少女にラップをさせるというムーヴメントはありました(あったと認識しています。)
例として:
- YAMEII: https://www.youtube.com/watch?v=g_mgqYb-GYw
- 初音ミク: https://www.youtube.com/watch?v=WiUjG9fF3zw
ですが、ここまで写実的というか、現代のアンダーグラウンドラップ/ヒップホップに近いもので、ここまで話題になっているものは史上初だと認識しています。
音楽性
まず一つ挙げられるのが、9ENSOKYOの音楽性です。
ジャンル
現代のアンダーグラウンドラップ/ヒップホップにおいては、Plugg, (Rage), Jerk(Hoodtrap)といったサブジャンルが栄えていると認識しています。
- Jerk(Hoodtrap)に関しては最近人気が再燃してきたジャンルで、これはy2kリバイバル・ムーヴメントのひとつだという見方を個人的にはしています。
- Plug/Pluggnbに関しては、mid 2010's から流行っているジャンルです
そして、9ENSOKYOの楽曲のジャンルはだいたいこの3つのどれかに分類されます。
単純に「二次元の美少女が歌ってるラップ音楽のジャンル」という見方もありますが、「現代のアンダーグラウンドラップを二次元の美少女がやってるジャンル」という見方をすればアツいと感じませんか?(俺だけか?w)
フロー
ラップの歌い方のことをフロー(flow)と言います。
古今東西、さまざまなラッパーがさまざまなフローでラップしていますが、それぞれに特徴があり、それもまた魅力の一つであると思います。
とりわけ、9ENSOKYOに所属しているラッパーのフローに関しては、現代のアンダーグラウンドラップに触発されたものが多いと感じており、
私の知識で挙げられる例としては
- 「語尾を伸ばして、同時に声が上がって下がる(メロディーを語尾で捉える)」のがSummrs, Autumn!, Jace! っぽい
- 「ひたすらマンブル(ぶつぶつラップするスタイル)するときのフロー」が Summrs っぽい
- 「基本的には低めの声でラップするが、曲中のいくつかのポイントで声の高さが高くなる」のが Summrs, Autumn!, Duwap Kaine, Jace! っぽい
などです。これ以外にも影響を与えたであろうラッパーは居ると思います。(そんなに詳しくないのでこれくらいしか挙げられてませんが()
- 基本的に、歌う楽曲のジャンルによるところが大きいとは思うので、そのジャンルで有名なラッパーのフローを(言い方悪いですが)パク…リスペクトしているんでしょう。
- 追加情報も兼ねて、余談として「フローをパクった」が発端でbeef(抗争)が始まることはザラにあります…
スタイル性
楽曲以外の、彼女ら(彼ら?)の、そのスタイル性も9ENSOKYOの魅力の一つだと感じています。
単純な話で言えば、美少女の3Dモデルを使ってるだけでもオタクくんホイホイなわけですが、以下のようにアンダーグラウンドラップオタクホイホイな側面もあります。
ネーミング
9ENSOKYOは架空のラップクルーとして認識していますが、そこに所属しているラッパーは東方プロジェクトのキャラクターが元ネタになっており、いくつか例を挙げると
- Remilia Bandxz: レミリア・スカーレット
- YUNGCIRNOOO: チルノ
- frandrexo: フランドール・スカーレット
のように、各メンバーが「現代のアンダーグラウンドラッパー」っぽいユニークな名前を持っています。
更に言うと、「frandrexo」はおそらく「Summrs(サマーズ)」というラッパーのインスタのidが「summrsxo」であるのがきっと元ネタであり、
「Remilia Bandxz」の「Bandxz」のように、アルファベットの「o」を「x」に置き替えるのも現実のラッパーがやってることです。
- 例: Scarlxrd: (https://en.wikipedia.org/wiki/Scarlxrd)
- Scarlxrdに関してはLate 2010's のラッパーのような気がしますが、依然としてこの表記をしているラッパーは2025年にも居ると思います。(例が思いつかなかった)
余談にはなりますが、9ENSOKYOのメンバーではないような?気がしますが、556kurumiというラッパーも存在しており、こちらは「デートアライブ」のキャラが元ネタになっているようです。
- 9ENSOKYOのメンバーと共演してたりするので、少なからず関係は深いものだと思われます
- remilia bandxz x 556kurumi ~ 50 shots (official music video) [Edit: Ven]: https://www.youtube.com/watch?v=h5NEKnx4XLI&list=RDh5NEKnx4XLI
リリック
リリック、つまり歌詞は「まんま」現代のギャングスタラップです。
remilia bandxz x 556kurumi ~ 50 shots (official music video) [Edit: Ven]: https://www.youtube.com/watch?v=h5NEKnx4XLI&list=RDh5NEKnx4XLI
例としてこの楽曲において、
I’m counting up this guap
この札束を数えているんだ
は金に関するスラングですし、
Molly gave me lockjaw, I can’t even talk
Molly(MDMA)をやりすぎて、(顎が固まって)喋れないぜ
はドラッグに関するスラングですし、
Yeah, fuck with the SDM, I’m sending 50 shots
紅魔館に喧嘩売るなら、50発撃っちまうぞ
はギャング/暴力的な歌詞です。
- 現代のラッパーに関する予備知識として、名前の頭に自分が所属しているクルーやギャングの頭文字を付けているラッパーが多数居ます。
- 例: YNW Melly, A$AP Rocky,
- ほかにも、名前には付けていないが、EBKに所属してるとされるKA$HDAMIや、ATKに所属しているYungeen Aceや、ATKのライバルであるKTAに所属しているFoolioなど。
- Youngboy NBA(Never Broke Again) のように、人生の標語?として付けている人もいる。
- 犯罪組織であるところのギャングでなくラップのクルーとして、(元)YBN Cordaeなども居る
- ちなみに彼は大阪なおみの夫としても有名です。
上に示したように、いかにも現代のラッパーっぽいワードも出てきますし、元ネタになったキャラにちなんだ歌詞も登場しています。
Yeah I’m with fairy maids
妖精メイドたちと一緒に
Pop pills, like, every day
毎日のように薬キメてる
These niggas very lame
こいつらは本当にダサすぎる
I swear y’all very fake
マジでお前ら全部偽物
Y’all be telling fairy tales
おとぎ話ばっか語ってるしな
Countin’ guap after every play
一発キメるごとに札束を数える
Gensokyo a scary place
幻想郷はマジで恐しい場所
のように、「幻想郷」だったり、「妖精メイド」のようなワードが頻出していますね。
また、別の楽曲ですが、YUNGCIRNOOO ~ Rakks(https://www.youtube.com/watch?v=sUCD1CiIJiE&)のリリックでは、
Turn a nigga to an ice cube, then watch his pussy ass shatter
奴を氷にして砕けるのを見届けるだけ
のように、チルノという元ネタのキャラに特にちなんだリリックも登場しています。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオも、アンダーグラウンドラップにちなんだ物になっています。
Props(登場するアイテムたち)
例えば、Remilia Bandxzがdouble cupでleanを飲んでいたり
- lean: コデイン等が含有されている咳止めシロップを、スプライト等のジュースで割った飲料型ドラッグ。主にWokhardt社のシロップが使われている。
- double cup: 大きな紙コップ/プラカップを2枚重ねにすると染み出てこない or 汗をかかないのでこうしている。

Glock wit a beamを所持していたり
- Glock: オーストリアのグロック社製のポリマーフレーム拳銃シリーズ。比較的安価で持ち運び易いため、ギャングが抗争や強盗で多用している。
- beam: レーザーポインターのこと。

Zillakamiというラッパーの古い写真

YUNGCIRNOOOにいたっては、光学サイトが装着されたGlockを所持しているし
- この持ち方もどっかで見たことある…笑

Tengu Mountainに関してはstickを所持している
- stick(MAC(-10)): 小型機関銃(サブマシンガン)。こちらもサブマシンガンとしては小型で、Uziシリーズと並んでギャングが愛用している。

VFX
映像内で用いられているVFX(視覚効果)もアンダーグラウンドラップのものにちなんでおり、例えば


Leanが入ったdouble cupを持ったRemilia Bandxzが紫色の液体になっているVFXが登場したり
- 全く同じのを見つけられませんでしたが、これが近いかも?: https://www.youtube.com/shorts/1s6LPddd7I4
ほかにも、ヴァースやラインの区切りに合わせてTransitionするときにFlash(Glow)やSlow-mo的なVFXがかかっていたり
- たいていこういうときはラッパーが指指すジェスチャーをしている(諸説あり)
- ヴァース(Verse):ラップ楽曲のAメロやBメロに相当する、歌詞がまとまった部分のこと。
- ライン(Line): ヴァースを構成する、改行で区切られた歌詞の1行のこと。
Flash(Glow)の例:




以上示したVFXはアンダーグラウンドラップのMVを見ていると結構登場する印象なので、そこから影響を受けていると考えられます。
(ビデオの編集者や使ってるソフトにもよるのかもしれませんが。)
個人的に映像が「いかにもアンダーグラウンドラップっぽい」もののうち、VFXゴリゴリだな〜と感じたもので言うと:
- KanKan - Woke Up: https://www.youtube.com/watch?v=9N2LzFrsew4
- リーン入りのカップが宙を舞っている映像が印象的
- Flash な Transition も登場する
- summrs - back 2 da basics: https://www.youtube.com/watch?v=EtrL9NkEphg
- Flash な Transition がめっちゃ登場する
以上が「いかにもアンダーグラウンドラップっぽい」VFXを多用してると思いました。
現実のラッパーともコラボ!?
9ENSOKYOからは若干話は逸れますが、現実のラッパーが556kurumiの「Sing」という楽曲をRemixしたという事例があります。
https://soundcloud.com/iayzeofficial/sing-remix-p-novachance-wav
いやいや、逆じゃないのかよ!?と思ったけど本人のアカウントから上がってるしそういうことなんだと思います。
まとめ
以上に示したように、9ENSOKYOはアンダーグラウンドラップオタクホイホイコンテンツである一方で、二次元オタクホイホイコンテンツでもあるという特異的なクルー(ムーヴメント)です。
自分の知識不足 & Dig不足で足りない説明もあったと思いますが、9ENSOKYO & アンダーグラウンドラップの魅力が伝われば嬉しいと思います。
また、二次元のオタクの皆様におかれましても、是非SoundCloudやYouTubeでアンダーグラウンドラップを聴き始めることからやってみてはいかがでしょうか。
おすすめとしては、「レんチョんは引きこもり」(https://www.youtube.com/@rentyonhahikikomori)というチャンネルで、さまざまなラッパー(メインストリームもアンダーグラウンドも)詳しく解説しているので、こちらをご覧になるのが第一歩、そこから気になるラッパーの曲を漁ってみると良いかもしれません。
- 「気になるラッパーのSoundCloudのページに飛んで、人気順でズラーっと聴いてみて、気にいった曲をいいねしておく」というやり方が良いかもしれません。
(自認アンダーグラウンドラップ & 二次元のオタクであるところの私は逆に、東方Projectというコンテンツにもっと触れるべきですね…)
- これまで本家を一度もプレイしたことがない挙句、2000年代のニコニコで挙がってた Bad Apple! やら チルノのパーフェクトさんすう教室 で知識が止まっているため…